「マイホーム用の土地を探しているのですが、物件情報の備考欄に『市街化区域』や『市街化調整区域』と書かれています。これって何が違うんでしょうか?どちらを選ぶべきか迷っています。」
土地選びにおける非常に重要なポイントに気づかれましたね!一言で表すなら「すぐに家が建てられる便利な街」と「自然を守るために建築ルールがある静かな街」の違いです。それぞれの特徴を知ることで、ご自身のライフスタイルに合った最適な土地を見つけることができますよ。
理想のマイホームを建てるための土地探し。インターネットやチラシで物件情報を見ていると、必ずと言っていいほど記載されているのが「市街化区域」や「市街化調整区域」という言葉です。
日本の土地は、都市計画法という法律によって「ここは街を発展させるエリア」「ここは自然や農地を残すエリア」というように、あらかじめ役割が決められています。
この記事では、土地・建物の専門家である土地家屋調査士が、2つの区域の明確な違いと、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
第1章:なぜ区域が分けられているの?
日本全国どこにでも自由に家やお店を建ててしまうと、道路の整備が追いつかなくなったり、豊かな農地や自然が失われたりして、非常に住みにくい環境になってしまいます。
都市計画法では、無秩序な市街化を防止し、適正な都市計画制限のもと合理的な土地利用を図るために、都市計画区域を大きく2つに分けています。
● 市街化区域:計画的な市街化を促進するべき区域。
● 市街化調整区域:原則として市街化を抑制すべき区域。
つまり、行政があらかじめ「街づくりを進める場所」と「自然環境を保全する場所」のメリハリをつけることで、私たちが暮らしやすい環境を守っているのです。
第2章:市街化区域の特徴(メリット・デメリット)
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域、またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことです。私たちが普段「街なか」と呼んでいる、住宅街や商業施設が立ち並ぶエリアがこれに該当します。
市街化区域のメリット
- 家を建てるのがスムーズ:用途地域などのルールさえ守れば、原則として誰でも自由に家を建てることができます。複雑な許可申請は不要です。
- 生活インフラが整っている:上下水道や都市ガス、整備された道路、公園などの公共施設がしっかりと整っているため、快適な生活が送れます。
- 利便性が高い:駅、スーパー、病院、学校などの施設が近くに集まりやすく、日々の暮らしに便利です。
- 資産価値が下がりにくい:需要が高いため、将来的に売却や賃貸に出す際もスムーズに進みやすい傾向があります。
市街化区域のデメリット
- 土地の価格(相場)が高い:人気があり利便性が高いため、購入費用が大きくなります。
- 税金が高めになる:固定資産税の評価額が高くなりやすいほか、都市計画税という市街化区域特有の税金が毎年かかります。
- 敷地が狭くなりがち:予算内で土地を探そうとすると、どうしてもコンパクトな敷地になりやすく、隣の家との距離が近くなることが多いです。
第3章:市街化調整区域の特徴(メリット・デメリット)
市街化調整区域は、農地や森林などの自然環境を守るために、街づくり(市街化)を抑制している区域です。原則として、新しい建物を建てたり、大規模な開発を行ったりすることが制限されています。
「家が建てられない区域」と誤解されがちですが、一定の基準(既存宅地など)を満たし、自治体から適切な許可を得ることで、マイホームを建築することは十分に可能です。
市街化調整区域のメリット
- 土地の価格が安い:建築に一定の制限がある分、市街化区域に比べて土地の購入費用を大幅に抑えることができます。
- 広々とした敷地を手に入れやすい:同じ予算でも、駐車場を何台も取れる広い庭や、家庭菜園を楽しめるゆとりある敷地を確保しやすくなります。
- 税金の負担が軽い:土地の評価額が比較的低いため固定資産税が安く抑えられ、さらに都市計画税は原則かかりません。
- 自然豊かで静かな環境:高いビルや騒がしい商業施設が建ちにくいため、のびのびとした静かな子育て環境を求める方に最適です。
市街化調整区域のデメリット
- 建築に特別な許可が必要:誰でも自由に家を建てられるわけではなく、行政書士などを通じた「建築許可」や「農地転用許可」の手続きと費用が別途必要になります。
- インフラ整備費用がかかる場合がある:上下水道が前面道路まで来ていない場合、浄化槽の設置や水道管の引き込み費用が自己負担になることがあります。
- 利便性がやや下がる:スーパーや病院、駅までの距離が遠くなるケースが多いため、車移動が基本のライフスタイルになります。
第4章:【早見表】2つの区域の違いを徹底比較
それぞれの特徴が一目でわかるように、比較表にまとめました。ご自身の優先したいポイントと照らし合わせてみてください。
| 比較項目 | 市街化区域 | 市街化調整区域 |
|---|---|---|
| 街の目的 | 計画的に街を発展させる | 市街化を抑制し自然を守る |
| 家の建てやすさ | 〇(原則として誰でも建てられる) | △(一定の条件と特別な許可が必要) |
| 土地の価格 | 高め | 安め(広さを確保しやすい) |
| 税金(維持費) | 高め(都市計画税がかかる) | 安め(都市計画税は原則なし) |
| インフラ整備 | 上下水道・ガス等が整っている | 自己負担での引き込み等が必要な場合あり |
おわりに:どちらが正解ということはありません
市街化区域と市街化調整区域、どちらが良い悪いということは決してありません。
「駅チカで買い物が便利、通勤通学の時間を短縮したい」という利便性重視の方には市街化区域が向いていますし、「車移動が中心だから、土地代を抑えて庭でバーベキューができる広い家を建てたい」というゆとり重視の方には市街化調整区域が素晴らしい選択肢になります。
もし、購入を検討している土地が「市街化調整区域」であった場合、その土地に本当に家を建てることができるのか、どのような許可や測量が必要になるのかを、契約前に専門家にしっかり調査してもらうことが成功の秘訣です。
愛媛県松山市の「KEY測量登記事務所」は、許認可申請のプロである【行政書士】と、不動産の調査・測量のプロである【土地家屋調査士】のダブルライセンス事務所です。
市街化調整区域における建築許可の可能性の調査から、境界確定測量、行政への申請手続きまで、お客様の不安を一つひとつ解消しながら、ワンストップでサポートいたします。土地選びでお悩みの方は、ぜひお気軽に当事務所へご相談ください。