実家の土地が「3つの筆」に分かれている?家を建てる前に合筆登記は必要か解説

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「実家の建て替えを検討中で法務局で登記簿を取ってみたら、1つの庭なのに地番が『10番1』『10番2』『11番』と3つに分かれていました。これって、家を建てる前に1つの土地にまとめないといけないんでしょうか?」

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よくあるケースですね。建築基準法などの法律上は、複数の土地にまたがって家を建てても問題ありません。しかし、銀行で住宅ローンを組もうとした際に、融資の条件として『合筆』を求められることがあります。その理由と実務上のルールについて解説します。

普段の生活では「自分の家の敷地は1つ」と考えていますが、不動産登記の世界では、土地は「筆」という単位で数えられ、それぞれ独立した登記簿が存在します。

歴史のあるお宅や、過去にお隣の土地の一部を買い足した経緯がある場合など、見た目は1つの広いお庭でも、内部的には複数の筆に細かく分かれていることが珍しくありません。

この記事では、複数の筆を1つにまとめる手続きである「合筆登記」について、どのような場合に必要になるのか、またどのような場合に手続きが制限されるのか、土地家屋調査士の視点から解説します。

第1章:法律上のルール「土地の筆」と「建物の敷地」は別物

まず大前提として知っておいていただきたいのは、不動産登記法における土地の数え方と、建築基準法における敷地の考え方は別物であるという点です。

● 不動産登記法の「筆」:法務局で地番が振られた、権利関係を管理するための単位。
● 建築基準法の「敷地」:1つの建物を建てるために使用する、一団の土地の範囲。

建築基準法では、複数の筆を合わせて「1つの敷地」として建築確認を申請することが認められています。つまり、登記簿上で土地が3つに分かれていようと5つに分かれていようと、複数の筆にまたがってマイホームを建築すること自体は、法律違反ではありません。そのまま放置していても、そこに住む分には困らないのです。

では、なぜ合筆登記を検討する必要があるのでしょうか。

第2章:銀行が「合筆」を求めてくる理由

家を建てる際、多くの方が金融機関の住宅ローンを利用します。この時、銀行の担当者から「融資実行の条件として、土地を合筆してください」と指示されることがあります。

これには、銀行側の「抵当権」の管理リスクが関係しています。

抵当権設定の漏れを防ぐための防衛策

土地がいくつにも分かれている場合、銀行は融資の担保として、すべての筆に対して抵当権を設定しなければなりません。もし1筆でも抵当権の設定を忘れると、将来万が一の際に土地全体を競売にかけることができなくなるリスクが生じます。地番を1つにまとめておくことで、担保保全の確実性を高め、事務手続きを簡略化する狙いがあります。

将来的に土地を売却する際も、筆が分かれているよりは、1つにまとまっている方が買主にとっても分かりやすく、重要事項説明などもシンプルになるため、不動産取引が円滑に進むというメリットがあります。

第3章:どんな土地でも合筆できるわけではない!合筆制限のルール

法務局へ書類を出せば無条件に合筆が認められるわけではありません。不動産登記法には「合筆の制限」というルールが存在します。

以下の条件のいずれか1つでも当てはまる場合、その土地同士を合筆することはできません。

  • 所有者が違う:一方が夫の単独名義、もう一方が夫婦の共有名義などは不可。
  • 持分割合が違う:両方とも夫婦の共有であっても、持分の割合が違う場合は不可。
  • 地目が違う:一方が「宅地」、もう一方が「雑種地」や「畑」の場合は不可。
  • 土地が接続していない:物理的に隣り合っていない離れた土地同士は不可。
  • 字(あざ)が違う:大字や字など、行政区画の名称が異なる土地同士は不可。
  • 所有権以外の権利の登記がある:片方にだけ賃借権や仮登記などがある場合は原則不可。

実務上、特に関わりが多いのが「地目が違う」という制限です。昔、隣の畑を買い足して庭の一部にしたような場合、まずは畑から宅地へ変える「地目変更登記」を事前に行い、すべての筆の地目を一致させてからでなければ、合筆登記へ進むことはできません。

抵当権などの「所有権以外の権利」に関するルール

法律上の大原則として、片方の土地にだけ「賃借権」や「地上権」、「仮登記」、「差し押さえ」といった所有権以外の権利が登記されている場合、合筆することはできません。

ただし、実務で最もよく遭遇する「抵当権(住宅ローンなど)」については特例があり、「両方の土地に、登記された年月日や受付番号などが完全に同一の抵当権が設定されている場合」に限って合筆が認められます。裏を返せば、過去に別々のタイミングでローンを組んで抵当権がついている土地同士は、原則として合筆不可能となります。

第4章:現場のプロが答える!合筆に関するQ&A

Q. 合筆するメリットは、銀行の手続き以外に何かありますか?

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A. 管理コストの削減と、将来の相続トラブルの防止に繋がります。
筆が分かれていると、登記簿謄本を取得するたびに筆数分の手数料がかかります。また将来、相続が発生した際に、メインの宅地だけを相続登記して、端にある小さな筆だけを相続し忘れるといった手続き漏れのリスクを防ぐことができます。1つの大きな筆にしておくことで、不動産の管理がシンプルになります。

Q. 逆に、合筆しないほうがいいケースはありますか?

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A. 将来、土地の一部を切り分けて売却する予定がある場合です。
例えば「数年後に庭の半分を分譲地として売却したい」「将来子供に土地の一部を譲って家を建てさせたい」と考えている場合、一度合筆した土地を再び分ける(分筆登記)には、改めて境界確定測量が必要になり、費用と時間がかかります。将来のライフプランに合わせて、あえて合筆せずに残しておくという選択も有効です。

おわりに:登記簿の整理は、土地の健康診断です

「1つの土地だと思っていたら、実は細かく分かれていた」
これは、家を建て替えようとした時に登記簿を見て初めて気づくことがほとんどです。

合筆登記は、条件さえ揃っていれば書類審査で進む手続きですが、前提となる地目変更が必要だったり、相続が絡んでいたりと、専門的な調査が必要な場合もあります。

愛媛県松山市の「KEY測量登記事務所」では、現在の土地の権利状況を正確に読み解き、お客様の建て替えスケジュールや将来の資産運用プランに合わせたアドバイスをさせていただきます。

「自分の土地がどうなっているか不安」「住宅ローンを組む前に登記を整理しておきたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。専門知識を活かし、あなたの大切な財産を整えるお手伝いをいたします。