ドローンの「機体登録」と「飛行許可」の違いとは?

建設現場での測量、インフラ設備の点検、不動産物件の空撮、さらには農薬散布や趣味の撮影に至るまで、ドローン(無人航空機)は私たちのビジネスや生活において欠かせないツールとなりつつあります。

しかし、その普及に比例して急増しているのが、「航空法違反による書類送検・摘発」のニュースです。

📈 【データが語る】ドローン違法飛行の実態

警察庁のまとめによると、航空法違反による全国のドローン摘発件数は以下のように推移しています。

  • 2016年(平成28年): 36件
  • 2018年(平成30年): 82件
  • 2019年(令和元年): 111件(摘発人数 115人)

注目すべきは、摘発された動機の半数以上が「観光地での記念撮影(54件)」や「ただの飛行練習(34件)」だったという事実です。「規制を知らなかった」「申請が面倒だった」という一般ユーザーが、ある日突然警察に摘発され、最大50万円以下の罰金という前科を背負う事態が後を絶ちません。

ドローンを適法に飛行させるためには、国が運用するオンラインシステム「DIPS2.0」を通じた厳格な手続が不可欠です。特に一般ユーザーや企業の担当者様を混乱させているのが、「機体登録」と「飛行許可・承認」という2つの異なる手続が存在するという点です。

この記事では、官公庁への許認可申請のプロフェッショナルである「行政書士」の視点から、複雑怪奇なドローンの法規制とDIPS2.0の手続フローについて、図解や表を交えながら【完全解説】いたします。

第1章:「機体登録」と「飛行許可」の違い

ドローンを購入した際、多くの方が「ネットで登録手続を済ませたから、これでどこでも自由に飛ばせる!」と誤解されています。しかし、それは大きな間違いです。

ドローンの手続は、自動車に例えると非常に分かりやすくなります。
「機体登録」は自動車の『ナンバープレート取得(車検証)』であり、「飛行許可・承認」は『運転免許証(または特殊車両の通行許可)』に相当します。

項目 機体登録制度 飛行許可・承認(特定飛行)
自動車に
例えると?
ナンバープレートの取得
(車体の登録)
運転免許 / 特殊通行許可
(行為の許可)
対象となる
ドローン
重量100g以上の全機体
※屋外で飛ばすなら必須
「特定飛行」を行う場合のみ必須
※場所や飛ばし方によって異なる
有効期間 原則 3年間 個別申請:指定日
包括申請:最長 1年間
手続の
難易度
比較的易しい
(マイナンバーカード等で申請)
非常に難しい
(マニュアル作成や実績の証明が必要)

車にナンバープレートが付いていても、免許を持たずに公道を走れば無免許運転になるのと同様に、「機体登録」をしただけのドローンで、航空法で制限された空域や方法で飛ばす(特定飛行)ことは違法となります。

まずはこの「2段階の手続」があることをしっかりと認識してください。

第2章:すべての基本となる「機体登録」制度とは

2022年(令和4年)6月20日より、航空法が改正され、本体とバッテリーの合計重量が100g以上の無人航空機(ドローン・ラジコン機等)は、すべて国土交通省への「機体登録」が義務化されました。

未登録のまま屋外で飛行させた場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。

機体登録に必要な3つの要件

  • 所有者および使用者の情報登録: 氏名、住所、連絡先等の本人確認(マイナンバーカードやgBizID等の利用)
  • 機体情報の登録: メーカー名、型式、製造番号(シリアルナンバー)
  • リモートID機能の搭載: 飛行中のドローンから、登録記号や位置情報等を電波で発信する機器の搭載が義務付けられています(※一部の事前登録機等を除く)。

登録が完了すると「JU」から始まる登録記号が発行されます。これを機体の目立つ場所にシール等で表示しなければなりません。登録の有効期間は3年間であり、継続して使用する場合は更新手続が必要です。

第3章:これに該当したらNG!「飛行許可・承認」が必要な【特定飛行】

機体登録が完了したドローンであっても、自由に飛ばして良いわけではありません。
航空法第132条等により、「飛行が禁止される空域」「飛行の方法に関する制限」が厳格に定められています。

これらの制限空域を飛行させる、あるいは制限された方法で飛行させることを「特定飛行」と呼び、事前に国土交通大臣(各地方航空局長等)の許可・承認を得る必要があります。

規制①:許可が必要な「4つの空域」

1. 人口集中地区(DID)の上空

国勢調査に基づく人口密集地域。市街地や住宅街の大部分が含まれ、自分の庭であってもDID内なら許可が必要です。

人口集中地区(DID)の上空のイメージ

2. 空港等の周辺空域

航空機の安全を確保するため、空港やヘリポートの周辺に設定された進入表面・転移表面等の空域です。

空港等の周辺空域のイメージ

3. 地表・水面から150m以上の空域

航空機の飛行ルートと重なる危険性があるため、高度150メートル以上の飛行は原則として禁止されています。

地表・水面から150m以上の空域のイメージ

4. 緊急用務空域

警察や消防の航空機が活動する空域。災害発生時などに突発的に指定され、原則として一切の飛行が禁止されます。

緊急用務空域のイメージ

規制②:承認が必要な「6つの飛行方法」

  • 夜間飛行: 日没から日出までの間に飛行させること。
  • 目視外飛行: モニター画面(FPV)だけを見ながら操縦したり、建物の裏側など肉眼で直接機体を確認できない状態で飛行させること。
  • 人や物件との距離30m未満の飛行: ドローンと第三者(自分や関係者以外)、または第三者の建物・車などとの間に30メートルの距離を保てない飛行。
  • 催し場所(イベント)上空の飛行: お祭りやスポーツ大会など、多数の人が集まるイベントの上空での飛行。
  • 危険物の輸送: 農薬や引火性液体などの危険物を搭載して飛行させること。
  • 物件の投下: ドローンから物を落とすこと(農薬散布もこれに該当します)。

建設業での現場撮影や不動産物件の空撮を行う場合、ほぼ確実に「人口集中地区(DID)」「人・物件から30m未満」の条件に抵触するため、業務でドローンを使用する場合は、事実上「飛行許可・承認」の取得が不可欠と言えます。

第4章:複雑なシステム「DIPS2.0」での申請フロー

これらの手続は現在、国土交通省が運用する「ドローン情報基盤システム2.0(通称:DIPS2.0)」というオンラインシステムで一元管理されています。
しかし、このシステムが一般ユーザーにとって非常に難解な構造となっています。

特定飛行の許可・承認を得るための基本的なフローは以下の通りです。

1

アカウント開設および機体登録

まずはDIPS2.0に個人(または法人)アカウントを開設し、前述の「機体登録」を完了させます。

2

操縦者情報の登録

ドローンを操縦する人の情報を登録します。民間資格や国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)を保有している場合は、その証明書情報も紐付けます。資格がない場合でも、10時間以上の飛行実績等の要件を満たしていることを宣誓する必要があります。

3

飛行許可・承認の申請書の作成

ここが最大の難関です。「どの機体」を「誰が」「どこで」「どのように」飛行させるのかを詳細に選択・入力します。安全基準を満たすための「飛行マニュアル」の添付が求められ、航空局標準マニュアルで対応できない特殊な飛行の場合は、独自の安全対策マニュアルを作成しなければなりません。

4

審査および許可書の交付

申請データが地方航空局等へ送信され、厳格な審査が行われます。不備があれば補正指示(差し戻し)が何度も行われます。無事に審査を通過すると、電子データとして「無人航空機の飛行に関する許可・承認書」が交付されます。飛行の際はこれを常に携行(データ保持)する義務があります。

さらに、許可が下りた後も、実際に飛行させる前にはDIPS2.0上で「飛行計画の通報(いつどこで飛ばすかの入力)」を行わなければならないなど、管理業務が継続して発生します。

第5章:ビジネス利用に必須!「個別申請」と「包括申請」の違い

飛行許可・承認の申請方法には、飛行の日時や経路を特定して申請する「個別申請」と、一定の期間・範囲をまとめて申請する「包括申請」の2種類があります。

建設業者様や不動産業者様など、業務で頻繁にドローンを使用する場合、毎回DIPS2.0を開いて個別申請を行うのは極めて非効率です。そこで実務上、多く利用されるのが「包括申請(全国包括申請)」です。

✅ 包括申請の圧倒的メリット

  • 一度許可を取得すれば、最長「1年間」、何度でも対象空域での飛行が可能になります。
  • 飛行経路を「日本全国」として申請できるため、急な現場対応や依頼にも即座にドローンを投入できます。
  • DID地区上空や、人・物件から30m未満などの頻出する制限をまとめてクリアできます(※一部、包括申請が認められない飛行方法もあります)。

包括申請を取得することで、企業は法令遵守(コンプライアンス)を保ちながら、ドローンを機動的なビジネスツールとして最大限に活用できるようになります。

第6章:なぜ「行政書士」に手続代行を依頼すべきなのか

DIPS2.0はシステム上、ご自身で申請を行うことも可能ですが、画面の操作性が複雑であり、航空法や審査要領に対する専門的な理解がないと、補正指示のループに陥り、許可取得までに膨大な時間と労力を浪費してしまいます。

官公庁への許認可申請のプロフェッショナルである「行政書士」に手続を委任することで、以下の大きなメリットが得られます。

行政書士に依頼する3つのメリット

❶ 圧倒的なスピードと手間の削減

面倒なシステム入力、機体情報や操縦者情報の紐付け、安全対策の記述など、難解な作業をすべて丸投げできます。補正対応も行政書士が迅速に行うため、最短での許可証取得が可能です。担当者様は本来の業務(本業)に専念できます。

❷ 独自マニュアルの作成等、高度なカスタマイズ

国交省の標準マニュアルでは対応できない特殊な飛行(イベント上空、高高度、農薬散布等)を行いたい場合、企業の実態に合わせた独自の「安全飛行マニュアル」を作成し、航空局と交渉する技術を持っています。

❸ 更新管理とアフターサポート(飛行実績報告)

包括申請は1年ごとの更新が必要です。行政書士と顧問的な関係を結ぶことで、更新漏れによる失効リスクを防ぎ、法改正の最新情報等も常にキャッチアップできます。

さらに当事務所(KEY行政書士事務所/KEY測量登記事務所)は、「行政書士」と「土地家屋調査士」のダブルライセンス事務所です。

ドローン飛行申請の法務サポートはもちろんのこと、実務としての「ドローンを用いたUAV写真測量」などの最先端技術にも精通しております。
単なる書類代行にとどまらず、建設・不動産業界におけるドローン活用の実態に即した、生きたアドバイスをご提供できるのが最大の強みです。

まとめ:違法飛行のリスクを排除し、安全なドローン活用を

本記事の重要なポイントを総括します。

  • 「機体登録(車検証)」と「飛行許可(免許証)」は全く別の手続である。
  • 100g以上のドローンはすべて「機体登録」が義務化されている。
  • DID上空や目視外など「特定飛行」を行うには、事前の許可・承認が必要。
  • 業務利用には、全国で1年間有効な「包括申請」の取得が有効。
  • 難解なDIPS2.0の操作やマニュアル作成は、専門家である行政書士へ委任すべき。

「この場所で飛ばすには許可が必要なのか分からない」「DIPSのアカウントを作ったが、その先の手順が全く理解できない」とシステムの前で立ち止まってしまうのは、時間の大きな損失です。
最悪の場合、手続の不備から意図せぬ航空法違反を招き、企業のコンプライアンスに関わる重大な事態に発展しかねません。

愛媛県松山市を中心に全国の申請に対応する「KEY行政書士事務所(KEY測量登記事務所)」では、法人・個人を問わず、ドローンの飛行許可・承認申請を迅速かつ正確に代行いたします。

「自社の業務にドローンを導入したいが、法規制が不安だ」という企業様は、ぜひ一度当事務所までご相談ください。
貴社のビジネスを法的な側面から強固にサポートし、安全でスムーズなドローン活用を実現いたします。