不動産(土地や建物)の売却、親族間での名義変更(相続)、あるいは一部の特殊な測量・登記手続きを行う際、専門家から必ず「権利証はお手元にありますか?」と尋ねられます。
実家の金庫やタンスの奥を探してみて、和紙のような立派な表紙のついた書類が出てくれば安心ですが、中には「『登記識別情報』と書かれた、シールが貼ってあるペラペラの紙しか見つからない」「いくら探しても、どこにも見当たらない(紛失した)」と慌ててご相談に来られる方が少なくありません。
この記事では、愛媛県松山市で不動産登記に携わる土地家屋調査士が、昔の「権利証」と現在の「登記識別情報」の決定的な違いや、万が一紛失してしまった場合の安全な対処法について、分かりやすく解説します。
徹底比較!「登記済証(権利証)」と「登記識別情報」
実は、平成17年(2005年)の不動産登記法改正を境に、従来の「権利証」は廃止され、新しい「登記識別情報」というシステムに切り替わりました。(※松山市などの管轄法務局によって切り替わった正確な時期は異なりますが、概ね平成19年頃までには全国で移行が完了しています)
📜 昔の「登記済証(権利証)」

- 特徴: 書類の最後に、法務局の赤いハンコ(登記済印)がバンッと押されているもの。
- 本質: 「その紙自体」に価値がある。
- 使い方: 手続きの際、この「原本(紙)」を法務局に提出して本人確認とする。
🔐 現在の「登記識別情報」

- 特徴: 下部に緑色の目隠しシール(または折り込み方式)があり、その下に「12桁の英数字」が隠されている。
- 本質: 紙ではなく、シールに隠された「12桁のパスワード」に価値がある。
- 使い方: 手続きの際、このパスワードを申請書に記載する(紙の原本を出す必要はない)。
つまり、昔の権利証が「キャッシュカードそのもの」だとすれば、現在の登記識別情報は「銀行の暗証番号」と同じです。
お手元にあるのが「登記識別情報」という紙であれば、それは昔の権利証と全く同じ効力を持つ重要なものですので、シールは剥がさずにそのまま大切に保管してください。
紛失してしまった!再発行はしてもらえる?
引っ越しや長年の保管の間に、「どこを探しても権利証(登記識別情報)が見つからない」というご相談は非常に多いです。
結論から申し上げますと、登記済証(権利証)も、登記識別情報も、いかなる理由があっても「再発行」は絶対にされません。(※防犯上の理由から、法律で再発行できないと明確に定められています)
💡 安心してください!土地を勝手に取られることはありません
「権利証を失くした=土地の権利を失う」「誰かに拾われて、勝手に名義を変更されてしまうのでは?」と心配される方がいますが、その心配はありません。不動産の名義を変更するには、権利証の他に「実印」と「印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)」が必ずセットで必要になるからです。権利証単体で悪用される危険性は極めて低いです。
権利証・登記識別情報を紛失した時の「3つの救済措置」
再発行はできませんが、不動産を売買したり手続きしたりすることが二度とできなくなるわけではありません。紛失した場合に備えて、法律では以下の「3つの代替手続き(救済措置)」が用意されています。
① 事前通知制度を利用する(原則)
権利証なしで法務局へ登記申請を行うと、後日、法務局から名義人の自宅宛てに「本当にあなたが登記の手続きをしましたか?」という確認の郵便(本人限定受取郵便)が届きます。その書類に実印を押して、期限内(通常2週間以内)に法務局へ返送することで、手続きを進めることができる制度です。
【メリット】 費用がかからない。
【デメリット】 郵便のやり取りが発生するため、手続き完了までに時間がかかる。不動産売買など「その日のうちにお金を決済したい」という取引にはリスクが高く、実務ではあまり使われません。
② 資格者代理人による「本人確認情報」の提供(最も一般的)
司法書士や土地家屋調査士といった「国家資格者(プロ)」が、直接名義人の方とお会いして面談を行い、身分証明書などを厳格にチェックした上で「間違いなくこの人が真実の所有者です」という証明書(本人確認情報)を作成し、法務局へ提出する方法です。
【メリット】 郵便のやり取りが不要で、スムーズに(即日で)手続きが進められる。不動産売買ではほぼこの方法が使われます。
【デメリット】 専門家が重い責任を負って作成する書類のため、数万円〜10万円程度の「作成費用(報酬)」が別途かかってしまいます。
③ 公証人役場で認証を受ける
ご自身で公証役場(公証人のいる役所)へ足を運び、公証人の面前で登記の委任状等に署名・捺印を行い、「間違いなく本人が手続きをした」というお墨付き(認証)をもらう方法です。
【メリット】 資格者に依頼するより費用が安く済む(数千円程度)。
【デメリット】 平日の日中に公証役場へ行く手間がかかり、事前の準備も少し複雑です。
まとめ:不動産手続きの総合窓口として、最適な専門家と連携します
昔の「権利証」と今の「登記識別情報」は見た目こそ違いますが、どちらも不動産の大切な権利を守る超重要書類であることに変わりはありません。もし紛失してしまっても、焦らずに専門家へご相談いただければ安全に手続きを進めることができます。
不動産の手続きには、私たち「土地家屋調査士(土地の境界や建物の測量・表示登記のプロ)」と、「司法書士(名義変更や売買・権利登記のプロ)」がタッグを組んで動く場面が多々あります。
愛媛県松山市のKEY測量登記事務所では、土地の測量や分筆からスタートし、信頼できる提携の司法書士の先生とスムーズに連携して、最終的な名義変更・売却までをワンストップでサポートする体制を整えております。
「権利証がないけれど、土地を分けて売りたい」「手続きに何から手をつければいいか分からない」という方は、まずは「不動産のお悩みの最初の入り口」として、当事務所までお気軽にお問い合わせください。